80歳の傘寿や88歳の米寿といったご両親や祖父母への長寿のお祝いに家族旅行に出かける人も増えています。
お年寄りでしたらお仕事も引退されて自宅にいることが多いと思いますので、たまには気分転換に遠くまで旅行して気晴らしするのもいいですよね。
ただ、気になるのは体への負担がかからないかということです。
飛行機での移動となると長時間だし上空1万メートルもの高さまで上がりますから、気圧の変化なども気になるところ。80歳や90歳でも飛行機って乗っても大丈夫なのでしょうか?
飛行機に高齢者が乗る時の体への負担は?同行者が注意することは?
飛行機を使っての旅行って結構疲れますよね。高齢者にとっては猶更です。高齢になると高血圧や呼吸器疾患などの持病がある人もたくさんいますし、足腰の弱い方、弱くはなくても加齢により筋力が衰えている方がほとんどですので、ちょっとした移動だけでも疲労や痛みなどが出る場合もあります。高齢者が飛行機に乗る際には、まずは必ず同行者が付くようにしましょう。また、同行者は以下のような点に注意をしましょう。
1.長時間・長距離の連続した移動を避ける
空港は大抵中心部から離れた場所にありますので、大抵の人は自宅から空港に着くまでにも時間がかかります。更に空港内はとても広く、チェックインカウンターまで行って受付をして搭乗口まで移動して飛行機に乗る、というだけでもお年寄りにとっては大変なことです。時間の余裕を持って自宅を出発し、状況を見て休憩をしながら移動しましょう。
2.事前に健康チェックをしておく
持病がありかかりつけ医がある方は、旅行に行く前に事前に主治医に相談をしておいた方がいいです。何かがあってからでは遅いですので、今の状態で飛行機に乗ったり長時間移動をしても問題がないか、注意しておくことはないかを、ご本人の体のことをよくわかっている主治医の先生にアドバイスを求めましょう。
3.補助用具を使用する
足が不自由な方は杖を持っておいた方がよいでしょう。車椅子が必要な方は、事前に車椅子の持ち込みが可能なのか、電動の場合のバッテリーの持ち込みもOKなのか、移乗補助はしてもらえるのかなどを調べておきましょう。利用する航空会社や海外であれば国によって違うかもしれませんので、持って行ってみたらダメだったなんて困ったことにならないようにしましょう。
4.いざという時のそなえ
飛行機内は通常とは全く違う環境に置かれますので、体調面でも精神面でも何らかの影響を及ぼす可能性もあります。普段飲んでいるお薬はもちろんですが、急に体調が悪くなった時のことも考えてお薬を準備しておきましょう。また、出先で病院にかかる場合のことも考えて、健康保険証のほかお薬手帳も持参しておくと便利です。また、持病がある場合はちゃんと病名や簡単な経過も説明できるようにしておくことが望ましいです。
5.行先について
海外に行く場合には、時差にも気を付けましょう。生活スタイルが狂う時差は、高齢者でなくてもキツイものです。真逆の時間帯になれば徹夜をするようなものです。時差が大きいような遠方に行くのも体力的に厳しいですので、なるべく近場にしておいた方がいいでしょう。また、赤道直下の猛暑の地区や、季節が真逆の南半球など、目的地は体調面を見ながら検討してください。
6.エコノミー症候群に注意
足の血流が悪くなって血栓ができ、それがはがれて肺に達することで起こる「エコノミー症候群(肺塞栓症)」をご存知かと思います。その原因は長時間座ったままなど同じ姿勢でいることです。死に至ることもある危険な病気ですので、予防するために、①ポカリスエットなどでこまめに水分補給をする、②足を高くあげるグッズを持参する、③着圧ソックスを履かせておくなどの対策をとっておくと安心です。これをしたら必ず防げるというわけではありませんが、少しでもリスクを減らせるよう準備しておきましょう。
飛行機に高齢者が乗る時に利用可能なサービスを活用しよう
各航空会社や空港では、高齢者でも安心して飛行機に乗ることができるよう、さまざまサービスを行っています。
まずは、予約時のサービス。座席を指定できるほか、シニア割引料金を設定しているところもあります。空港までの移動も、羽田空港であれば日本交通の「サポートタクシー」というサービスを使えば、空港までだけでなく受付や搭乗手続きまで、介護資格を持ったドライバーが付き添ってくれますので、高齢者だけでの旅行でも安心です。
空港内では、搭乗口までの案内や到着時の出迎え、優先上等などのサービスもあります。高齢者だけでの搭乗でも付き添い者が搭乗口まで同行もできます。車椅子が必要な場合には貸し出してくれたり、電動カートが利用できる場合もあります。
機内には私物の車椅子が持ち込めない場合もありますが、その際は機内用の車椅子の貸し出しもあり、荷物の収納補助もしてもらえます。その他、困ったことがあれば可能な範囲で補助またはアドバイスがもらえるはずですので、まずは一度相談してみましょう。サービスや航空会社によっては事前の申請が必要な場合もありますので、事前の相談がベストです。
まとめ
高齢者が飛行機に乗る際には、体調面に気を付けながら無理のない範囲での旅行計画が欠かせません。また、何かあった時に備えてお薬やお薬手帳、保険証など持参し、こまめな水分補給や休息を忘れずにとりましょう。航空会社によるさまざまなサポートもありますので、事前に相談の上利用できるサービスを活用してみてください。