パン屋さんの前を通ると、焼きたてのパンの香りはたまりません。
焼きたては特にいい香りで、出来立てのパンは格別に美味しいですよね。
釜から焼きたてのパンを食べられるのは、この職業に勤めた特権だなぁと感じていました。
今や人気のパン職人ですが、実際はどんな仕事かご存知ですか?
正直に言うと体力勝負の職種です。
朝早く出勤して1日立ちっぱなしで作業を行いますし、パンの生地は意外に重く重労働。
時間との戦いでもあるので、時間は分単位で確認します。
パン屋に勤めたものの過酷すぎて膀胱炎を通り越して腎盂全になったわたしが、
実際どんな仕事なのか、パン屋の世界をご案内します。
ショッピングセンターの専門店街のパン屋さんの1日
私の働いていたパン屋は、社員が2~3人(移動や退職もあるのですが、店長1人+社員1人は必ずいました。)、
パート勤務は4~5人で製造を補っていました。
ショッピングセンターの専門店街のパン屋ですので、個人のお店や路面店のように勤務時間は長くないと思います。
16:00位が最後の焼き上げで製造の仕事は終了していましたし。
その後は焼き上げたパンの販売を中心とした営業です。
店長から話を聞くと、実際のパン屋はもっと勤務時間は長いようで、夜の19時、20時は当たり前だと伺ってます。
交代も無いですから、かなりの重労働だとわかりますね。
それでは私が勤務していたパン屋での1日の流れを見ていきましょう。
6:30 店長、社員の出勤時間です。
調理場では、パンを焼く準備のため釜の電源を入れ温度を上げておきます。
前日仕込んでおいたパンの生地は、ホイロ(生地を発酵させるときに用いる保温装置)にセットしてあるので、朝に発酵できているようにタイマーがしてあります。
営業時間は9:00からのため、焼きたてを出すためには逆算して発酵・釜入れして焼き上げをしています。
ここでのパン屋は、1から生地を作ってパンを焼き上げますが、チェーン店の場合は出来上がった冷凍の生地を使っている場合が多いので、大量に焼き上げる事が出来るそうです。
粉の計量は前日にしており、ミキシング(機械を使って生地をその他の材料と混ぜる事)はすぐに朝いちで行う事ができます。
パンの種類で粉の配合や種類が違い、大量の生地を仕込むのが一苦労なんです。
人手が足りないときは、仕込みをしながら麺台(生地を計量したり生地を成型する台のこと)でパンの成型をしています。
8:00 私はこの時間からの勤務です。
製造をする中でも一番遅い時間での勤務です。
子供がいる主婦にとっては勤務時間が速いのは厳しいので、社員の方や子供がいない主婦の方が早くから勤務してくれ、とても助かりました。
私の仕事はリバースといって、仕込みで出来上がった生地をこの機械で伸ばしクロワッサンなどを成型していきます。
丸めて成型しないパンはその生地をカットしていろいろなパンに形を作っていきます。
私が一番難しいと思ったのがクロワッサンなどのデニッシュです。
バターが多く含まれる生地のため、温度管理が大変です。
生地の温度が高くなるとターが溶け込んでしまい、綺麗な層にならないため神経は使いました。
当日作った成型したパンは、次の日に焼き上げるので、きちんと焼きあがるか分からないのが難点でした。
クロワッサンの場合はあの月型の形も難しいのです。日々勉強といった感じですね。
8:50 販売の人も含めてミーティングをします。
「本日の焼き上がり時間」を販売の人に報告をします。
特に食パンは1日に何回も焼くため、焼き上がりの時間はとっても大切です。
9:00 開店です。
釜ではどんどんパンを焼いています。
製造では、明日のパンを成型していますが、食パンは当日仕込んだ生地を使っています。
時間によって、惣菜パン、菓子パン、食パンを焼き上げお店に並ばせます。
16:00 私はこの時間で勤務終了ですが、忙しいと残業をして明日の仕込を手伝っていました。
パン屋は前日仕込みができるため、夜作っているパン屋さんもあるようですね。
私たちはすべて日中に翌日焼き上げるパンを成型していたので時間との勝負です。
パン屋さんによっても種類が違いますし、製造量も違うので色々な仕事形態があると思います。
17:00 製造は終了です。
通常はこの時間で終わるには早いですね。
パン屋では朝早く夜遅くがお決まりのようですが、私が勤務していたところは掃除もこの時間には終わらせ、社員の人は販売を手伝っていました。
社員ですと労働時間が決まっていますので、それまでは退勤できません。
社員もパート仕事内容は一緒!!トイレに行けない…人間関係のストレス…
これだけは伝えておきたいのは、社員であれ、パートであれ仕事内容は同じです。
確かに勤務時間が違うのでやれる仕事が限られますが、仕事内容は社員並みでした。
やはり体力勝負ですので、もしパン屋をやりたいと考えている人はまず体力を付けたほうが良いです。
休憩は早いか遅いかで、ランチタイムとずらして取ります。
大変だったのはトイレです。
タイミングよく仕事の切れ間に行きたいと思っていると、キリがなく我慢してしまいます。
その結果、膀胱炎になってしまう人が多いようです。
私はもっと酷い腎盂全になってしまい、しばらく休む事もありました。
これだけで済めば良かったのですが、原因不明のめまいや吐き気、頭痛で通院もしましたが、病名はわからずフラフラの状態で勤務をしていた事もあります。
今考えると、ストレスが原因でこのような症状が出たようです。
症状が良くならないので退職したとたんに具合が回復へ。
ストレスって知らない間に体を壊しているんだと実感しました。
何がストレス?と思いますよね。
どこにでもある人間関係が一番ストレスになります。
陰で人の悪口を言ったり、できないことを頭ごなしに怒ったり、ひいきしたりをする人が1人でもいるとお店の雰囲気が悪くなります。
私の場合は、直接このような行為をされる事は全くありませんでしたが、されている人を見るのが苦痛でストレスが溜まっていたようです。
どこにでも意地悪な人はいるものですが、見ているだけでも耐えられないですね。
パンは大好きですが、体調が悪ければ他の人に迷惑がかかってしまいます。
退職はとてもつらかったです。
仕事は大変でしたが、パン作りはとても楽しかったので退職は残念でした。
パン職人にはどうやったらなれるの?
私は資格はありませんが勤めることが出来ました。
他の人たちはどうだったでしょうか?
店長は元はOLだったそうです。
仕事をしながら夜間のパンの学校に通った後この会社に就職して、のちに店長へ昇進です。
社員の男の子は、農業大学卒業後パン屋に就職しました。
いろいろなパン屋で勉強をしたいと思っていたようで、ここでは2回目の転職でした。
もう1人の社員の女の子は製菓の専門学校後パテシエを目指していましたが、パン屋に就職しその後海外で勉強したいと旅立ちました。
パン屋になる方法も人それぞれです。
上司の方いわく、「知識ばかりではダメで、経験と努力と後はセンスが必要」だと教えてもらいました。
形あるものですからセンスは大事だと思います。
資格を取らなくても働く事のできるパン屋さんは多々あります。
勉強した知識は大事ですが、頭でっかちにならないようにしないといけません。
どんなことにも対処できるように技術を身に付ける努力は必要ですね。
チャンスがあればもう一回パン屋で働けたらいいなと思います。
最後に
これも上司の方に聞いた話ですが、自分でお店を持つのは、売り上げがないと継続できない厳しい職種のようです。
どこかのお店に雇われているほうが、お給料は確実にもらえるので安心だといっていました。
なかなか理想と現実は厳しいですね。
開業するにも何百万の費用がかかるので実は大変なんです。
自分のお店をもって自由にやっていくか、雇われて安定したお給料をもらうか、シビアな問題です。