日本は小さな島国ですが、その土地その土地で言葉やイントネーションが違う「方言」がみられておもしろいですよね。
別の地域の出身者と話をしていたりすると、知らなかった言葉を聞いたり、また自分が標準語だと思っていた言葉が通じず、実は方言だったなんてこともあります。
また、逆に方言だと思っていた言葉が標準語であったり様々です。
私は福岡出身ですが、以前同じバイト先で働いていた広島出身の子が、「そこはわいといて」と言われて意味が分からず困っていたのに衝撃を受けました。
福岡では「はわく」は普通のことなのですが、実は方言だったんですね。ちなみにホウキなどで掃くという意味です。広島出身の子は「なぜそこに“わ”を入れるのかわからない」と解せない様子でした。こちらからしたら、「はく」の方が他の意味もあるし言いにくいし、「はわく」の方がしっくりくるんですがね。
そんな方言の話になるとよく取り上げられるのが、「地べた」という単語です。
私の地元の福岡でも普通に使う単語です。皆さんご存知のとおり、「地べたに座る」なんて言うとおり、地面という意味ですよね。
今回は「地べた」について調べてみます。
地べたという言葉は方言だって知ってましたか?どこで使われる?
「地べた 方言」と検索すると、色んな地区の方の記事が出てきます。
天草地方の方言だという説もあれば、三河地区の方言だという人、京都の方言という記事もあります。一体本当はどこの方言なのでしょうか。
gooの「全国方言辞典」で調べても、方言としてはヒットしません。普通に辞書として検索すれば当然意味は出てきますが、どこにも正式に方言でどこどこ地区の言葉、といった表現は見当たりません。
ということは、「地べた」は標準語の可能性が高いです。実際、福岡出身の私も「地べた」と使いますし、色んな地区の人が普通に使っています。
「ジベタリアン」なんて地べたに座る若者をさす言葉なんかもありましたし、標準語を主に使用するテレビの世界でも使っているはずです。
地べたの語源とは?
「地べた」とはなぜそのような言い方をするのでしょうか?
「地べた」は漢字で書くと、「地辺田」と書くようです。土や田畑の周辺をさす漢字で、現在使われている意味と変わりはありませんね。
それならシンプルに地面でいいのに、と思いますが、「べた」にはもう一つ意味があります。
「ほっぺた」とか「尻っぺた」なんて言うように、ぺたっとしてはり付きそうな柔らかさや、べたっとして重くのっぺりした状態を表す際に、「ほっぺ」や「尻」という名詞だけでなく「ぺた」や「べた」が付いて強調されることがあります。
「地べた」という表現は、あまりいい印象では使用しませんよね。
「地べたに座る」というと、普通座らないような汚いところに座ってみっともないといった意味も含まれているし、「地べたに物を置く」も、台の上やカゴなどに入れずにそのまま地面に置くなんて…という悪い意味で使われることがほとんどでしょう。
地べたの正確な語源は不明のようですが、おそらくこういった、地面+べたっとした状態をさす意味に、強調的な意味があるのではないかと考えられます。
まとめ
方言は色んな地域の特徴が出ていて、また語源も様々で、調べてみると色々と面白い物がでてきます。
しかし、国境を越えるとなると海を越えたり手続きが必要だったり難しいですが、国内の移動は特に制限もなく自由ですから、行こうと思えばどこまでも行けるわけです。大昔には藩や地区を越えるのに制限があった時代もあったかもしれませんが。
ということは、言葉の行き来も自由に行われてきたわけです。元々発生した場所はあっても、人の行き来に伴い言葉も行き来し、よそへ伝わったりそこで別の言葉と混じったり、別の意味に変わっていたり進化しているはずです。
東京の言葉が「標準語」と言われますが、一方では標準語も「東京弁」と言われることもあります。この先もし首都が変わったりしたら、関西弁が標準語になってNHKニュースも関西弁で…なんて日が来るのかもしれませんね。そしたら国民性もにぎやかに変わりそうですね。